「お元気ですか」「はい、おかげさまで」という挨拶が交わされると共に安堵する気持ちになれます。意味は「あなたのお力添えで」ということも含まれているでしょうが、もっと深い意味(宗教上の意味)が込められているのです。
つまり、「かげ」とは、神仏やご先祖さまの霊のことを意味しているのです。目には見えないものへの感謝の気持ちが込められる敬虔な祈りからであります。
ちょっと昔のいいお話がありますので紹介します。
「ご飯には仏がござる」
大正時代の頃、ある少年の学校に目では見えないどんな小さいものでも見ることができるという機械(顕微鏡)が届いたそうです。そこで少年は、ご飯粒を学校に持っていくことにしました。というのは、いつも、おじいちゃんはご飯を残すと『ご飯には仏がござる』とよく言うので、ご飯の中の仏様を見たいと考えたわけです。
すると、先生は「ばかだな、お前のじいちゃん」。確かに「仏」は見えませんでした。
おじいさんは、日頃ものの大切さを教える人で、鍬を粗末に扱えば「鍬には仏がござる」食事を残せば「ご飯には仏がござる」と叱る人だったのです。
心の教育とは、こういうことでしょう。