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一口法話


お彼岸とは

投稿日:2005年08月01日

 昔から「暑さ寒さも彼岸まで」と言われますが、私たちの生活に深い関わりをもっています。
 国民の祝日に関する法律によりますと、春分の日は「自然を讃え、生き物を慈しむ」となっており、秋分の日は「祖先を敬い、亡き人を偲ぶ」と定められております。
 春分の日も秋分の日も、昼と夜の長さが大体同じで、つまり中日を真ん中に挟んで七日間を彼岸と呼んでいます。
そうした自然現象になぞらえて、この七日間は右にも左にも片寄らない「中道」(正しい道)に生きるための「努力実践週間」と言っても良いでしょう。

 お彼岸とは字の如く「向う岸」。
サンスクリット語でパーラミターといいます。
このパーラミターを音写して「波羅蜜」となりました。
物事が「成し遂げられた世界」とか「苦悩や迷いのない澄みきった境地」という意味です。

 彼岸の反対は、「此岸」でこちらの岸、苦悩や迷いの満ちた世界、またそのような心の状態のことです。
そうした状態から脱却するには、自分自身で精進努力する以外に方法はありません。
そこで此岸から彼岸へ渡るには「六波羅蜜」という、六つの正しい努力、実践の方法があります。

  • 布施…思いやりのある暖かい心で人のため、社会のために尽くすこと。
  • 持戒…私たちが生活する以上、どんな場合でもルールがあります。
    定められたルールを正しく守り自分を磨いていくこと。
  • 忍辱…苦難の伴わぬ社会はありえません。
    すべての苦難に耐え抜き、乗り越えていくこと。
  • 精進…成さねばならぬ事は、精一杯の力で努力をすること。
  • 禅定…落ち着いた静かな心で行動すること。
  • 智慧…深い洞察力。常に正しい判断力を養う。

以上の六つの実践は人間である以上、大切な心構えです。
お彼岸中は特に努力を傾けようというわけです。
たとえ一つでも二つでも生活の中に生かしたいものです。

大雄寺住職 倉澤良裕 記す


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