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一口法話


心のふるさと

投稿日:2005年10月01日

当大雄寺がある黒羽町は、那須地方、栃木県北部に位置し人口17,000人の城下町であります。
清き那珂川が流れ、八溝・那須連山を望む小さな町であります。
黒羽藩大関家が代々続き、菩提寺大雄寺は、今に伝える室町期の禅寺であります。
地名、名称も身近に残し、多くの人々が訪れています。

  • 東京荒川区三ノ輪の「大関横丁」は、黒羽藩江戸屋敷跡。
  • 黒羽藩藩校「作新館」は、現在宇都宮市の私立作新学院に使われている。

今は松尾芭蕉、「奥の細道」で、黒羽を良く知ることとなっています。
このような事で、黒羽は、歴史と伝統が大切に守られ、息づく山紫水明の地、心の安らぎを与える「心のふるさと」であります。
ふるさとには、生まれ育った故郷をふるさとと解しますが、もう一つ「心のふるさと」があります。
人情味、なつかしさ、心の安定を得るやすらぎの地、そんなところを「心のふるさと」言えるでしょう。

そう言えば、2500年前お釈迦様は、インドのクシナガラという都で沙羅双樹の下で最期の説法をなされました。
頭を北に顔を西に向け、80年の生涯を閉じられました。いわゆる北枕です。
なぜ、お釈迦様は、北に頭を向けられたかと申しますと、実は、誕生の地ルービニという都のある北方向に向けられたとされています。
つまり、心のふるさとに思いを向け、涅槃に入られたのであります。

私たち人間は、心のふるさとにある種の特別な感情を抱くものです。
日々雑踏の中に生活拠点をもつ都会の人たちは勿論のこと、やすらぎと落ち着きを与えてくれる「心のふるさと」を求め、ここ黒羽に多くの人が訪れ、中には住まいを移す人も多く居ります。

私たちは、心のふるさとを愛し、そこに住むことができる有難さに感謝し、大切に守っていかなければならない。

大雄寺住職 倉澤良裕 記す



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