山門横の「ラカンの丘」の石佛十六羅漢像は、微笑とやすらぎを与える、おおらかな面持ちと親しみある姿でユーモラスに何ごとかを語りかけてくれる。
「羅漢」とは、インド原語サンスクリット語でアラハントが音写され、阿羅漢とか羅漢といい、最高の悟りを得、仏法を守護する聖人の意である。また、供養に応ずる資格をもつ人の意で「応供」とも言う。
永く現世に住まわれ、仏法を紹隆護持下さる羅漢さまは、その尊像を寺院の山門上や本堂内に祠り、また、広い山野にまつられて多くの人々の供養に応ぜられ、衆生の苦難を救われておられる。
一般に馴染み深い羅漢さまは、十六羅漢の第一尊者の「おびんづるさま」と第十六尊者の「チューダ パンタカ」であります。
「おびんづるさま」は、ヒンドラハラダジャ尊者といい、その尊像は本堂の外陣に安置されて、参詣人が像をなでるのでピカピカになっているが、これは、病のところをなでることで治ると信じられていることによる。
▲大雄寺 本堂廊下にある「おびんづるさま」 |
「チューダ パンタカ」は、別名「周梨槃特 シュリハンドク」とも言い、資性が甚だ愚鈍にして、経文を何回習っても読んでも覚えられないというほどの低能であった。
釈尊は、チューダ パンタカに箒を一本与え『難しいことはよいから掃除をしなさい』と命ずる。言われたと通り一生懸命に掃除をしながら、ついに『智慧をもって煩悩を払うことは、掃除と同じ』と悟り羅漢となる。
日本で古来より例え話がある。このチューダ パンタカのお墓から芽が出た植物をミョウガと言う。
漢字で書くと「茗荷」。「ミョウガを食べると物忘れする」などと伝わっている。
日本の昔の人が教えてくれる「掃除の大切さ」、「自分で出来ることをコツコツと成し遂げることの大切さ」そんなことが教えられる。