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一口法話


社員研修

投稿日:2008年04月24日

大雄寺は、参禅道場の認可を受け、各種の坐禅研修を実施している。毎年2月は、「立志にあたって」と銘打って坐禅、法話、作務(清掃)といったプログラムで中学二年生対象に多く訪れる。
最近学校教育の総合学習とか体験学習としてこのような計画が持たれる。
3月となると企業の社員研修が多くなる。しかし、最近は社会情勢からか新入社員の研修が少なくなった。でも、社会への第一歩、甘い学生生活からの決別、人づくりを理由に禅寺での修行生活を体験する企業も今年も予定されている。新入社員の入社前研修だ。「ミツトヨ」という会社は今年で十回を数えると思うが、4泊5日の厳しい研修が今年も3月下旬に実施される。
早朝から坐禅・法話・作務など行じ、日中は会社独自の研修、夜は再び坐禅という過酷な修行が実施される。
寒さと不自由な生活、わがままが通らない理屈抜きの5日間。この修行生活から逃れたいと寺を去るものも過去にはあった。しかし、去ればこの会社には入社できない。共に励まし合いながら耐え忍んで無事5日間を成し遂げて4月1日の入社式に臨めるのである。

この研修から「親への感謝」「人は一人では生きていけない。多くの人や自然の恵みに生かされて生きている」「自分をもう一度見つめ直すこと」「今までの生活を振り返ること」など多くのことに気付くのである。

就寝前に研修生は大声で「五省」唱える。この「五省」は昭和7年海軍兵学校で使用されたもので、各自反省の一刻を持つものである。

五省

  1. 至誠に悖るなかりしか(偽りのない心に背き惑うことはないか)
  2. 言行に愧じるなかりしか(ことばと行いに見苦しさ、はずかしさを覚えないか)
  3. 気力に欠くるなかりしか(行動に耐える力、根気が不足していないか)
  4. 努力に憾むなかりしか(努め励むべき事に心残り、物足りなさを覚えないか)
  5. 不精に亘るなかりしか(面倒くさがって怠け心が広がっていないか)

軍国主義を賛美するわけではないが、今を生きるため自己反省には尊い言葉である。
今年新入社員は15名、過去の30名とか40名の採用と比べると厳しい時代である。だからこそ明日を担う若者を育てなければならない。

 

 

大雄寺住職 倉澤良裕 記す


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