今から750余年前曹洞宗開祖道元禅師は、24歳の時中国に留学し、天童寺如浄禅師に学ばれ、28歳で帰国。帰国後の第一声が「空手還郷」クウシュゲンキョウ、「眼横鼻直」ガンノウビチョクというものでした。
空手還郷とは、「経典や仏像など持ち帰らず、手ぶらで祖国日本に帰ってきました」。
眼横鼻直とは、「眼は横に鼻は縦についていることがわかった」と言われたのです。
読んで字の如く、「あたりまえ」という意味で、人間として如何に生きるか、あたりまえをあたりまえに行ずることであります。仏教や禅というと、私たちは特別なものとして構えてしまいますが、そうではなく、自分の足元をしっかりと定め、日常生活が真剣に修行として行ずるならば、そこにこそ仏になる道がひらけてくるということを示されたのです。
私たちは、あたりまえをあたりまえに行じているだろうか? 食事をすること、掃除をすること、風呂に入ることなど。
これらあたりまえの日常生活の営みを真剣に行じていくことが、眼横鼻直の意味するところであります。
日常生活を真剣に行じることが、すべての人が宿している、仏さまの種(仏性・仏心)が芽を出し育ち、花が開くのであります。