世界の宗教は、信者の信仰生活が具体的に定められているが、日本の仏教は、あまりはっきりと示されていないが、曹洞宗大本山永平寺の103歳になる宮崎貫主さまは、
「曹洞宗の檀信徒は、毎朝ご仏壇の前に姿勢を正しくまっすぐに坐り、合掌しご仏壇のご本尊さまと自分が一直線になるように線香をまっすぐに立ててお参りすること。
そのまっすぐの心で一日を送ることです。」
と示して下さった。
そのまっすぐな心を保つ日々の生活を実践することである。
間もなくお彼岸を迎える。亡き親ご先祖を偲んでお墓参りという行事とされるお彼岸。
まっすぐな心を保つ行いを具体的に実行しようとする六つの徳目が説かれる。お彼岸は、これを実践することである。
六波羅蜜といい、六つの実践行とは、
「布施」・「持戒」・「忍辱」・「精進」・「禅定」・「智慧」である。
[布施]
布施の心は、惜しい欲しい気持ちを捨てること。
金品に限らずいろいろな施しができる。
大切なことは施すものの優劣多寡ではなく、相手の役に立ち喜んでもらえるかどうかである。「無財の七施」と言って、財産に関係なくいつでもどこでも、そして誰にでもできる布施行がある。
[持戒]
規律正しく生活を調えること。
[忍辱]
我慢する、しんぼうすること。自分の思うようにならないことがたくさんある。思うようにならないからといって、腹を立ててばかりもいられないわけで、じっと我慢しなければならないことがしばしばあるものである。
[精進]
努力をすること。
精進の「精」は、本物であること。まじりっけがないということを意味する。
「進」は、ただ進むだけではなく、怠らないことである。ひたすら希望に向かって努力すること。
[禅定]
心を安定させること。生活全体を調えるなかから心の安定を身につけていくこと。
[智慧]
真実を見極める眼をもつこと。「布施」・「持戒」・「忍辱」・「精進」・「禅定」が集約されて本当の智慧となるのである。
今日彼岸 菩提の種を 蒔く日かな