霧の中を歩いていると、知らない間に着物がしっとりしてしまうことは、みなさんも経験することがあるでしょう。
「すぐれた人に親しんでいると、気がつかないうちに、自分もすぐれた人になれる。」という教えがあります。
このことを仏教では、「熏習(くんじゅう)」と言います。
いつも香を薫じていますと、いつの間にか、その部屋や敷物まで香りが染みついてしまうように、人の精神や行いが心の奥底まで影響を与えていくことを意味します。
こんな話を聞きました。
『毎朝欠かさずご仏壇にご飯とお茶お水を供えお参りしています。
ある日、私が家を留守にしたとき、孫が、私がやっていたことそっくりに仏様にお供えしお参りしてくれていたんです。
頼んだわけでもなく親に言われたわけでもないのですよ。
嬉しかったです。』
毎日の家庭生活で躾や規範意識などは、まさに親から子へ、孫へと熏習されて育つものです。
私たち大人、親自身のありようがどんなに大切なことかを思わずにはいられません。